本多誠一

ZURRIOLA オーナーシェフ

銀座に集まる世界中の人々を惹きつけるバスク料理の名店ZURRIOLA。バスク料理にフランス料理の経験や日本人としての感性を注ぎ込む本多シェフは、常に前へ前へと進化し続けている。今回、料理にかける思いやAkaitoサフラン®︎との出会いについてお話を伺った。 (Akaito Limited  高木陽子)

1976年 千葉県生まれ。
1998年 高校卒業後、フランス料理店を経て渡仏
  ブレス地方・ヴォナスの三つ星「ジョルジュ ブラン」
  リヨンの一つ星「ピエール オルシ」
  ジュネーブへ移り、二つ星「ドメーヌ ドゥ シャトー ヴュー」
  フランスのバスク地方の「ル フロントン」でスーシェフ
  スペインへ渡り、サンセバスチャンの「カーサ ウロラ」シェフ
2006年 9年間の海外修行を経て帰国
  日本料理「龍吟」時代に「サンパウ」のカルメシェフと出会う
2008年 東京「サンパウ」スーシェフ
2011年 東京麻布十番「ZURRIOLA」をオープン
2015年 銀座・交詢ビル4階に「ZURRIOLA」を移転・オープン

スペイン料理ではなくバスク料理のレストラン

今回Akaito Artistとしてインタビューをお受けいただいたが、「スペイン料理では初のAkaito Artistです」と言うと、「うちはスペイン料理ではないんですよ」と言う答えが返ってきた。スペイン料理としてすぐ思い浮かぶような、パエリア、アヒージョ、タパスなどは出していないと言う。実はパエリアも数えるほどしか食べたことがないのだそうだ。ZURRIOLAが提供しているのはバスク料理。バスク地方の人々はバスク人としての誇りを持って暮らしており、本多シェフもサンセバスチャンで経験したバスク料理にこだわりを持っている。

糸よりのプランチャ Akaitoサフラン®︎のソース

シェフとして培った全てを料理に注ぎ込む

「ただし、バスク料理に至る前に26歳までフランス料理をやってきましたから、それはもちろん自分のベースになっています」とも付け加える本多シェフ。ヨーロッパで長年研鑽を積み、フランスからスペインのバスク地方へと活躍の場を移し、帰国後、日本料理を経てバスク料理の店をオープンした経歴を持つ。日本でもまだ珍しいバスク料理にフレンチ時代に培われた料理人としてのベース、そしてもちろん日本人としての感性や日本料理店での経験も活かされているに違いない。本多シェフにしか作り出せない唯一無二の味がZURRIOLAの魅力だ。

Akaitoサフラン®︎の効いた車海老のアロスカルドソ

Akaitoサフラン®︎との出会い

まず「美しい」というのがAkaitoサフラン®︎の第一印象だったと語る本多シェフ。ヨーロッパの修行時代はスペインのサフランなどに親しんでおり、もちろんフレッシュな質の高いサフランではあったものの、Akaitoサフラン®︎の長さや形はずば抜けて長く大きくより真っ直ぐで、一目見て驚いたと言う。帰国後は日本に流通している海外産のサフランを使ってきたが、輸入を経て味も香りも見た目も本場とは格段に落ちるものだったが、仕方がないものだとそれに慣れてしまっていた。Akaitoサフラン®︎を知ってしまった今は、もう海外産のサフランには戻れないとのコメントをいただいた。

皮目をカリッと焼いたイサキとAkaitoサフラン®︎のソース

―  最近の銀座はインバウンドの観光客で溢れていますが、お店の様子は以前と違いますか。

以前から外国人観顧客が多い銀座だが、彼らの求めるものが変化したと本多シェフは言う。以前は “日本に来たからお寿司や天ぷらを” という訪日客が多かった。しかし、今では料理のジャンルに関わらず、ここでしか食べられない美味しい食事を楽しみたいという人々が増えていると語る本多シェフ。コロナ禍を経て、歴史的な円安が進む現在、店を訪れる客は平日で2割、週末は6割が訪日外国人だそうだ。

―  18歳の自分を振り返って、今どんなアドバイスをしてあげたいですか。

この問いに、慎重に言葉を選びつつ、「高校行かずに中卒で料理の道へ入れと言ってやりたい」と笑顔で答えた本多シェフ。高校時代の先生や友人に怒られそうだとしながらも、やはり少しでも早くこの世界に入れば良かったという思いがあるそうだ。シェフを目指しつつ高専へ行くのも良いと、店の若手スタッフを例に挙げながら話してくれた。

―  自分で納得のいく一皿が作れた時は、どんなお気持ちですか。

その時は満足、と言いかけて、「でも、満足は一瞬で、そこに留まることはない」と本多シェフは答えた。満足した気分に浸っていては次へ進めないし、シェフとしての日々にそんな悠長な余裕はないそうだ。ランチで5皿、ディナーで11皿、それらのコースメニューを2か月ごとに変える。常に新しいメニューを考えていると言う。

本多シェフの目は常に前を見据え、その料理は日々進化し続ける。ZURIOLLAはこれからも、洋の東西を問わず美食を求めて銀座に集まる世界の人々をその独自の世界で魅了し続けることだろう。

ZURIOLLA
http://zurriola.jp/
〒104-0061 東京都中央区銀座6-8-7  交詢ビル4階